事例の詳細
岡山県倉敷市の株式会社エーアンドエーマテリアル(過去の商号は、朝日スレート株式会社、朝日石綿工業株式会社、株式会社アスク)の玉島工場及び水島工場(すでに事業所廃止)にて、昭和22年から昭和39年まで石綿セメント円筒、コンクリートブロック、ケーブル埋設用セメント管などの石綿含有製品の製造に直接従事し、その後昭和40年から昭和53年まで石綿(アスベスト)粉じんが舞い散る工場内で現場監督として働いた結果、石綿(アスベスト)による肺がんを発症しお亡くなりになった男性のご遺族からの依頼でした。
担当弁護士の調査によると、株式会社エーアンドエーマテリアル(現商号)の玉島工場及び水島工場には、被害男性のほかにも、石綿(アスベスト)による健康被害を訴え、労災認定を受けている方が複数人いらっしゃいました。
担当弁護士は、被害男性の労災認定時の資料などから国の責任が認められるべき事案であると判断し、平成29年12月に大阪地方裁判所に1430万円及び遅延損害金(年5%)の支払いを求めて訴訟を提起しました。
裁判の中で、国側からは、被害男性が、具体的にどのような状況で石綿(アスベスト)を取り扱う作業に従事し、石綿(アスベスト)の粉じんを吸い込んだのか、具体的な状況を明らかにするようにとの主張がなされました。
被害男性は、昭和22年から昭和39年までの約17年間、直接石綿含有製品を製造する業務に従事していましたが、ご本人が10年近く前にお亡くなりになっている以上、もはや具体的な作業内容を直接説明できる人はいませんでした。
とはいえ、担当弁護士としては、被害男性の石綿(アスベスト)健康被害については、国にも責任があると確信していましたので、当時の工場内の様子、工場内で行われていた作業内容等の間接的な事実を積み上げることで証明するという方針を立てました。
そして、平成30年6月27日、無事に当方の請求どおりの内容で国と和解することができました。
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提訴の時期が損害賠償請求権の期間内であることが必要ですが、期間内であるかどうかについてはこちらで確認いたします。
弁護士からのコメント
本件のように労災認定時の資料だけでは、被害者が石綿をどのように加工し、それによってどのように石綿粉じんが発生したのかが分かりづらいケースは多くあります。
また、意外かもしれませんが、労災認定時の資料を見ても、石綿が含まれる材料を加工していたことや石綿が含まれる製品を製造していたことは分かっても、肝心の具体的な作業内容が明らかでないことが多いのです。
そして、石綿(アスベスト)による健康被害は、何十年もの年月を経て発症するとの特徴があるため、被害者ご本人がすでにお亡くなりになっている場合も多く、その調査は必ずしも簡単ではありません。
しかし、そのようなケースであっても諦めずに当時の状況が分かる資料を収集し分析することで、本件のように良い結果に結びつく可能性は十分にあります。
過去に石綿工場で勤務し、石綿健康被害に遭われた方・ご遺族の方は、ぜひ一度ご相談いただければと思います。ご相談は、フリーダイヤル0120-7867-30までお気軽にお電話ください。