事例04
石綿を使用する波板(スレート)や煙突を製造する仕事に従事していた方の事例
事例の詳細
兵庫県尼崎市にあった極東スレート株式会社で原料に石綿を使用する波板(スレート)や煙突を製造する仕事に従事し、悪性胸膜中皮腫を発症して死亡した男性のご遺族からの依頼でした。
被害男性は、生前に労災申請を行っていましたが、労災認定を受けたのは死亡してからでした。
担当弁護士が、労災認定時の資料を確認したところ、資料には男性が実際に従事していた具体的な作業内容は書かれておらず、「波板と煙突の製造」との記載があるだけでした。
また、被害男性自身も、高齢であることもあって、自身が従事していた具体的な作業内容については詳しく分からない状態であったようです。
しかし、担当弁護士としては、①極東スレート株式会社については、被害男性以外にも石綿による労災認定を受けている方がいらっしゃったこと、②極東スレート株式会社の登記簿謄本に書かれていた会社の目的に「石綿製品の製造」が含まれていたこと、③当時多くの波板・煙突製造業者が石綿を使用していたこと、④スレート波板については、当時ほとんどの製造品に石綿が使用されていたこと、などから、本件については、国の責任が認められるべき事案であると判断しました。
そこで、国に対して、平成29年8月に大阪地方裁判所に1430万円及び死亡日からの遅延損害金(年5%)の支払いを求めて訴訟を提起しました。
裁判の中で、やはり、国側は、被害男性が、具体的にどのような作業に従事し、石綿粉じんにばく露したのかを証拠に基づいて明らかにするよう求めてきました。
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提訴の時期が損害賠償請求権の期間内であることが必要ですが、期間内であるかどうかについてはこちらで確認いたします。
弁護士からのコメント
石綿(アスベスト)被害は、実際に石綿を吸ってから何十年も経ってから健康被害が発症する点に特徴があります。この被害男性も例外ではありませんでした。本人が死亡してしまったり、高齢で当時のことを覚えていない状態である場合に、「具体的な作業内容」を明らかにすることは困難なケースも多いでしょう。
今回のケースについては、幸いにして、裁判中に、当時被害男性と一緒に極東スレート株式会社で働いていた方(同業の関西スレート株式会社の元従業員)を見つけることができました。そして、すぐさま担当弁護士が連絡を取ったところ、当時の作業内容を具体的に証言してくださいました。
そして、平成30年3月27日、無事に当方の請求どおりの内容で国と和解することができました。
本件のように労災認定時の資料だけでは、被害者が石綿をどのように加工し、それによってどのように石綿粉じんが発生したのかが分かりづらいケースは多くあります。
そのようなケースであっても諦めずに当時の事情を探っていくうちに、不思議と当時を知る方に結びつくことがあります。そして、その方のお話を丁寧に聞き取り、裁判の証拠にすることで、本件のように良い結果に結びつく可能性は十分にあると感じています。
過去に石綿工場で勤務し、石綿健康被害に遭われた方・ご遺族の方は、ぜひ一度ご相談いただければと思います。ご相談は、フリーダイヤル0120-7867-30までお気軽にお電話ください。