事例03
労災認定時の資料やご家族の証言などから国の責任が認められた事例
事例の詳細
大阪市の大和産業株式会社の奈良工場で電気絶縁用石綿セメント板(断熱材料)を切断、切削する仕事に従事し、石綿肺による肺がんを発症して死亡した男性のご遺族からの依頼でした。
被害男性が大和産業株式会社奈良工場に在籍していた際、被害男性のご家族がこの工場に遊びに行ったり、工場内のお風呂に入ったりしていたため、当時の被害男性の仕事内容や工場内の様子等について、ご家族の証言がある事案でした。
担当弁護士は、労災認定時の資料やご家族の証言などから国の責任が認められるべき事案であると判断し、平成29年11月に大阪地方裁判所に1430万円及び死亡日からの遅延損害金(年5%)の支払いを求めて訴訟を提起しました。
裁判の中で、国側からは、証言をした被害男性のご家族が当時まだ子どもであったことから、被害男性が加工していた材料に石綿が含まれていたとの証言の信用性に疑問があるとの主張がなされました。
その後、大和産業株式会社に対して、当時の被害男性の仕事内容を照会したところ、被害男性の仕事内容についての具体的な回答を得ることができたため、ご家族の証言を裏付けることができました。
そして、平成30年3月27日、無事に当方の請求どおりの内容で国と和解することができました。
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提訴の時期が損害賠償請求権の期間内であることが必要ですが、期間内であるかどうかについてはこちらで確認いたします。
弁護士からのコメント
本件のように労災認定時の資料だけでは、被害者が石綿をどのように加工し、それによってどのように石綿粉じんが発生したのかが分かりづらいケースは多くあります。意外かもしれませんが、労災認定時の資料を見ても、石綿が含まれる材料を加工していたことや石綿が含まれる製品を製造していたことは分かっても、肝心の具体的な作業内容が明らかでないことが多いのです。
そのようなケースであっても諦めずに当時の事情を知る方のお話を丁寧に聞き取り、裁判の証拠にすることで、本件のように良い結果に結びつく可能性は十分にあります。
過去に石綿工場で勤務し、石綿健康被害に遭われた方・ご遺族の方は、ぜひ一度ご相談いただければと思います。ご相談は、フリーダイヤル0120-7867-30までお気軽にお電話ください。