事例02
国の責任期間と就労期間との重なりが16日間の事例
事例の詳細
かつて大阪府泉佐野市にあった南海パッキン工業株式会社(すでに廃業)で石綿鉱石を粉砕して繊維に加工する仕事に従事し、中皮腫を発症して死亡した男性のご遺族からの依頼でした。
被害男性が南海パッキン工業株式会社に在籍していた期間が、平成26(2014)年10月9日最高裁判所判決によって国の責任が認められた期間(昭和33(1958)年5月26日~昭和46(1971)年4月28日)とわずか16日間しか重なっていなかったため、ご遺族にご相談をいただいた時から、訴訟をしても国が和解に応じない可能性も考え、慎重に判例や同種事例の調査を行ってきました。
その後、平成29年11月に大阪地方裁判所に1430万円及び死亡日からの遅延損害金(年5%)の支払いを求めて訴訟を提起しました。
裁判の中で、やはり国側からは、国の責任期間と就労期間との重なりの短さを指摘され問題となりましたが、昨日、平成30(2018)年3月22日、無事にこちらの請求を全て認める形で国との間で和解が成立しました。
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提訴の時期が損害賠償請求権の期間内であることが必要ですが、期間内であるかどうかについてはこちらで確認いたします。
弁護士からのコメント
本件は、泉南型アスベスト訴訟において、国と和解が成立した全国の事案の中で、国の責任期間と就労期間との重なりが最も短い事例となりました!
担当弁護士としては、そもそも、泉南型アスベスト訴訟の和解の枠組みからすれば、国の責任期間と就労期間との重なりの長短は問題にすべきではなく、極端な話、国の責任期間と就労期間との重なりが1日でもあれば、国側は和解に応じるべきであると考えていますが、今回の訴訟を通じて、国は、自らの責任範囲に、独自の基準によって制限をかけていることが分かりました。国がどのような考慮事項を、どのように考慮しているのか、今回の訴訟を通じて、その一端を垣間見ることができたのは、大きな収穫だと感じています。
過去に石綿工場で勤務し、石綿健康被害に遭われた方・ご遺族の方は、例え国の責任期間と就労期間との重なりが短い場合でも国と和解できる場合もございますので、ぜひ一度ご相談いただければと思います。ご相談は、フリーダイヤル0120-7867-30までお気軽にお電話ください。