「暮らしに役立つ法律情報」は、過去に配信していたメールマガジンの内容です。
最新の情報とは異なる場合があります。予めご了承ください。
ご相談が急増中の遺言・相続に関する「知っておきたい問題」。
ひとまず、3回目の今回で最後になります。
今回のお話しは、相続の割合と意外なトラブルについてです。
相続人が配偶者と子どもの場合、配偶者が1/2で、
残りの1/2を子どもの人数で等分します。
この場合の「子ども」ですが、実子に限られるということはなく、
養子でも構いません。養子縁組をした場合でも、
法律上では「子ども」として区別されることはありませんので、
法定相続人としての権利は認められます。
配偶者と親の場合は、配偶者が2/3で、親が1/3。
配偶者と兄弟の場合は、配偶者が3/4で、兄弟が1/4となります。
相続の割合はそれぞれのご家族の状況によって異なってきますので、
詳しく知りたいということでしたら、
遺言・相続問題に詳しい弁護士にご相談ください。
相続の割合の話だけでなく、遺言書の書き方や、相続トラブルを
未然に防ぐ方法など、あらゆる点でお力になれると思います。
ところで、先ほどお話ししました、配偶者と兄弟の相続割合について、
「兄弟が1/4」というのを、皆さんはどのようにお感じでしょうか?
結婚して、本人と配偶者で築き上げてきた財産のうち、
1/4が兄弟の取り分になる...。改めて考えると大きな問題ですね。
そのような状況で、残された財産がマイホームだけだったとします。
そのマイホームの権利の1/4は、兄弟のもの。
配偶者がマイホームに住み続けたくても、兄弟が換金したいのであれば、
配偶者はマイホームを売却して、1/4の金額を兄弟に支払うことになります。
そのような問題が起きて、大切な家族が困ったことにならないよう、
万が一の事態に備えて、遺言書を残しておくようにしましょう。
相続に関するトラブルでよくあるものの一つが、不動産の名義変更です。
随分と前から名義を書き換えられることなく、そのままになっていた
不動産は、相続人が増えて、収拾がつかなくなることがあります。
昔の人は兄弟がたくさんいるのも当たり前でした。
そして、たくさんの兄弟にも子どもができて...ということになると、
相続人は数十人から百人単位になることもあるのです。
歴史のある家屋敷を相続したのに、調べてみると相続人がたくさん。
一人ひとりの行方を捜して、相続の意思を確認して、
書類に印鑑をもらって、いくらかを渡して...大変な労力が必要ですね。
このようなトラブルを起こさないためには、
遺言書を残しておくことのほかに、不動産の名義変更などの確認や
手続きを行っておくことが大切です。
せっかく築き上げてきた生前の財産。
残されたご家族や親族がいつまでも仲良く、幸せでいて欲しいと
思っていても、自分の財産が原因で台無しになってしまっては、
これ以上悲しいことはありません。
ご自身の死後に、想像もしなかったトラブルが発生して、
骨肉の相続争いが起こらないようにするためには、
やはり遺言書を残しておくことがベストです。
ただし、その遺言書の書き方や内容が法的に無効であったり、
著しく不公平なものになっていたりすると、
さらに大きなトラブルを招くおそれがありますので、
弁護士などの専門家と一緒に、遺言書を作成することをおすすめします。
なお、遺言書は「一度書いたら大丈夫」というものではありません。
財産の内容やご家族の構成など、色々な条件が変わってくるものです。
数年に一度、その時々の状況に応じて見直しをすることも必要です。
年に一度、誕生日やお正月に見直しをされる方もいらっしゃいます。
遺言書作成の際に、弁護士等の専門家のサポートを受けた場合は、
定期的に見直しの連絡などが入ることが一般的ですので安心です。
遺言書にも「定期的なメンテナンスが必要」と覚えておきましょう。