「暮らしに役立つ法律情報」は、過去に配信していたメールマガジンの内容です。
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前回に引き続き、不倫の証拠のつかみ方のお話です。
今回は証拠をつかんだ後のことについても、
詳しくお話ししていきたいと思います。
前回お話したように、離婚や慰謝料の請求を考えている場合は、
不倫の証拠を集めておくことが必要になってきますす。
しかし、ただ単に証拠を見つけるだけではなく、
「本人に事実を認めさせる」ということがポイントになります。
いくら証拠をつかんで、それを相手に突きつけても、
本人が認めなければ話はスムーズに進まないからです。
実際にあった事件を例にお話しますと、
不倫相手と一緒にホテルへ入っていく姿を、
探偵にカメラでバッチリ撮影されているにも関わらず、
「やましいことはしていない。発声練習をしていただけだ」
と主張されて困惑している方がいらっしゃいました。
これでは話し合いに入ることもできませんね。
証拠を掴んだあとは、相手に不倫の事実を認めさせる、
場合によっては「私には不倫をした事実があります」と
一筆書かせるといったことを必ずしておきましょう。
それでもしつこく言い張っているような場合には、
別の証拠を掴むしかありません。
これも実際にあった例なのですが、妻が不倫をしていて、
夫がホテルの前で妻を捕まえて問い詰めました。
ところが、何もしていないと言い張っていたので、
手帳の中身を確認すると、意味深な印がたくさんついていました。
そのことで、不倫を認めさせることができたのです。
そのとき、夫は冷静に不倫の事実を認めさせ、
妻に一筆書かせています。内心穏やかでないのは明らかですが、
決して怒鳴りつけたりしてはいけません。
後になって「強迫されたので仕方なく不倫を認めた」
といったような主張をされることがあるからです。
証拠をつかむときは、冷静になることも大切なのです。
これまでにお話したような方法で証拠を掴み、
不倫の事実を認めさせることによって、
離婚の手続きをスムーズに進めたり、
慰謝料を多く請求したりするのに役立ちます。
夫婦には「貞操保持義務」というものがあります。
これは読んで字のごとく「配偶者以外の他人と、
肉体関係を持つようなことをしてはいけない」というものです。
これに反すると、慰謝料の理由にもなりますし、
離婚の理由にもなるのです。
慰謝料と聞くと「離婚をしなければ貰えない」
というイメージがありますが、慰謝料の請求に
離婚は必ずしも必要ではありません。
離婚せずに慰謝料だけ貰うこともできるのです。
その場合、慰謝料は配偶者だけでなく、配偶者の不倫相手に
請求することも可能です。たとえば、夫が不倫をしていた場合は、
夫と不倫相手が一緒になって妻の権利を侵害した
ということになります。これは「共同不法行為」に当たり、
妻は二人に対して慰謝料を請求できるのです。
その場合の慰謝料ですが、離婚にまで至った場合と
そうでない場合には、差が出てきます。
離婚に至った場合は、妻が受けるダメージも大きいため、
当然高額なものになります。
具体的な金額はケース・バイ・ケースですので
何とも言えませんが、結婚生活が長ければ長いほど、
慰謝料の額は高額になってきます。
芸能人の離婚の話題になると、慰謝料が数億円!といった
話もありますが、それは財産分与まで絡んでいるからです。
婚姻中に二人で築いた財産は、名義などに関わらず、
何でも半分にするのが原則となっています。
20年連れ添った夫婦が離婚し、一方が相当なダメージを受けて
離婚に至った場合でも、慰謝料は1,000万円程度なのです。
弁護士になって驚いたことの一つは、
世の中に不倫はこんなに多くあるものなのか!ということです。
軽い気持ちで始めた不倫のせいで、
大きな代償を払うことにもなりかねません。
恋はいくつになってもできるものかもしれませんが、
ほどほどにしておきましょう。