「暮らしに役立つ法律情報」は、過去に配信していたメールマガジンの内容です。
最新の情報とは異なる場合があります。予めご了承ください。
前回に引き続き、
今回も「知っておきたい離婚のお話」です。
離婚を考える上で十分に注意しなければならないのは、
「自分自身に離婚原因がないか?」ということです。
たとえば、自分が不倫や浮気をしており、
配偶者と一緒にいるのがイヤで別居をしたとします。
前回もお話しした通り、別居期間が長ければ長くなるほど、
婚姻を継続するのが難しい状態であると認められやすくなり、
離婚が認められることにつながります。
ところが、自分自身が不倫や浮気といった
不貞行為をした挙げ句、勝手に別居をしたという場合には、
離婚を請求しても認められることはないでしょう。
基本的に、離婚原因を作っている本人からの
離婚の請求は認められないのです。
例外が認められた判例を見てみますと、
20~30年も別居状態が続いていた夫婦の場合ですので、
一般的には難しいと思われます。
意外とご存知ない方も多いかもしれませんが、
夫婦には「同居義務」というものがあります。
だからといって、夫婦間に何らかの不満や問題を抱えている
夫婦を無理矢理に同居させる訳にはいきませんから、
別居をすることもできるのです。とはいえ、別居はやむを得ない
場合にするものであって、本来は「何となくイヤだから」といって
簡単にできるものではありません。
また、夫婦が別居を選択したとしても、
扶養義務が残っていますので、生活費(婚姻費用といいます)は収入のあるほうから
渡さなくてはなりません。そもそも、夫婦の間には、
家計を共通にして助け合いながら家庭を維持する義務
「協力扶助義務」というものもあります。
「一緒に暮らすのがイヤだ」といって家を飛び出したり、
生活費を払ったりもしないということであれば、
それは離婚原因のひとつである「悪意の遺棄」ということになります。
「悪意の遺棄」とは、簡単にいえば家族を「ほったらかし」に
しておくことです。ですから「性格の不一致」を理由に
別居したとしても、配偶者や子どもをほったらかしにしているようなら
「悪意の遺棄」と見なされてしまいます。
そして、自分から離婚原因を作ったことになるので、
離婚請求を受け入れられなくなる可能性があります。
いくら別居期間中であったとしても、生活費の問題は
しっかり話し合って、必要な分は支払うようにしなければなりません。
このようなお金の問題は、裁判や調停の原因となります。
トラブルなく解決するための第一のポイントは、
自分たちで話し合いができるかどうかです。
話し合いで問題解決できない場合には、
裁判所で調停の制度を利用することになりますが、
調停は離婚を前提としたものだけではありません。
「夫婦関係円満調整調停」というのもあって、
とりあえずの冷却期間として別居するようにして、
「別居期間中は家に生活費を入れましょう」
「月に何度かは子どもと会いましょう」といったことを
調停で約束することができます。
この調停を利用すると、お金に関する拘束力も発生するので、
決められた金額がしっかり支払われないような場合は、
相手の収入を差し押さえたりすることができるようになります。