「暮らしに役立つ法律情報」は、過去に配信していたメールマガジンの内容です。
最新の情報とは異なる場合があります。予めご了承ください。
前回は、葬儀費用に関する問題についてお話ししましたが、
今回は、葬儀への備えの段階で発生するトラブルについてのお話しです。
「万が一のために、互助会に入りませんか?」
という勧誘を受けたことがある方も多いのではないでしょうか。
万が一の事態に備えるための互助会制度は、とても良さそうな
イメージがありますが、困った問題を抱えている場合もあります。
私は弁護士という立場から、債務整理などのご相談を受けることも多く、
ご相談者様の預金通帳を確認させていただく機会があります。
そうすると、多くの方が互助会を利用しておられるようで、
いくらかの金額が互助会から引き落とされていることが多いのです。
その互助会というのは、「毎月3千円ずつ積み立てておいたら、
お葬式の際に数十万円分の費用をカバーできて安心ですよ」
といったような仕組みになっているようです。
少し話は横道にそれますが、葬儀費用の平均金額を、
地方別にまとめた資料がありましたのでそれを見てみますと、
葬儀にかける費用は東北地方が最も多く、約280万円となっています。
最も少ないのは四国地方で約150万円。近畿地方は約180万円だそうです。
この金額は、葬儀にかかるあらゆる費用を全て含んだ額ということですが、
これを見る限りでは、互助会が言うように、本当に数十万円という金額で
葬儀ができるかという点には疑問が残ります。
互助会の勧誘を行っている人たちも、実際にどのくらいの費用が
必要になるのかが分からないまま勧誘を行っているのかもしれませんが、
「最初に聞いた話と違う!」というトラブルも多いようです。
また、途中で解約を申し出ても、「解約するとこんなに損をしますよ!」
といった話をされて、解約に応じてもらえないケースもあるようです。
互助会の制度は、上手に使えば大きなメリットになる場合も
あるかもしれませんので、加入を検討されるのも良いかもしれません。
ただし、検討の際には、内容をしっかりと確認するようにしましょう。
この世に生まれてきた以上、葬儀は避けて通れない必須の儀式です。
ですから、前もって準備をしておくことはとても大切です。
だからこそ、誰かに言われるがままにするのではなく、
自らの大きな問題と捉え、能動的に情報を集めたり、
ご家族みんなで話をしたりしながら、準備を進めていくことが重要ですね。
現在では、インターネットのホームページで葬儀会社の紹介や、
比較・検討ができるサービスなどを利用することもできますから、
それらもしっかりと活用して、賢く・上手に準備をしていきましょう。
人生には色々な出来事があるものですが、最後は安らかに
締めくくりたいものです。そして、残された家族や親族の間に、
余計なトラブルが起こらないようにしたいものです。
葬儀や相続の準備は、元気なうちに始めることをおすすめします。
準備といっても「葬儀屋さんに予約をしておく」といったことだけ
ではありません。「どんな風に最期を迎えたいか?」
「どんな葬儀にしたいか?」「財産は誰に、どのように分けるか?」
といったことについて、ゆっくり考える時間を持つことから
始めてみると良いでしょう。