「暮らしに役立つ法律情報」は、過去に配信していたメールマガジンの内容です。
最新の情報とは異なる場合があります。予めご了承ください。
前回に引き続き、任意後見制度についてのお話しです。
任意後見制度は判断能力が低下してしまった場合に、
自分の選んだ後見人のサポートを受けるという制度です。
しかしながら、判断能力が低下している本人が、
「判断能力が低下してきました」と連絡するわけにもいきません。
また、判断や意思表示はしっかりできていれば、体の自由が
利かないといったような場合でも、任意後見契約はスタートできません。
そこで、任意後見契約を結ぶと同時に、2つの契約を結ぶことになります。
1つ目は「見守り契約」で、2つ目は「財産管理契約」です。
先ほどもお話ししました通り、
任意後見契約をいつスタートさせれば良いか?が分からなくなっては
意味がありませんので、いつスタートしても良いように、
定期的に様子伺いをしてくれる、見守り契約は欠かせません。
いくら判断や意思表示が出来ていても、体が不自由なため、
自分では銀行へ行くこともできない、契約を結ぶこともできない...
といった状態では困ってしまいます。そのような場合に備えて
結ぶ契約が財産管理契約です。
したがって、将来への備えを万全にするためには、
任意後見契約、見守り契約、財産管理契約の
3つを「セット」の形で結ぶことが必要になります。
さて、この場合の契約料金ですが、毎月定額を支払うことが一般的です。
たとえば、見守り契約は月々5千円、任意後見契約の場合は、
任意後見が必要な状態になってから月々2~3万円といった具合です。
最初にいきなり高額な料金を支払う必要はありませんが、
公証役場で契約書を公正証書にするための費用が数万円必要になります。
これからの時代、一人暮らしの老人世帯や、老人同士の世帯が
増加していくのは明らかです。実際に、そのような状態になることが
予想されるのでしたら、しっかりとした専門家を選んで、
将来のために契約を結んでおかれるほうが良いでしょう。
私もカルチャーセンターでエンディングノートの書き方や、
老老介護の問題について、講座を担当していたことがあるのですが、
参加者の皆さんは本当に真剣に講座に臨んでおられました。
このような問題に関心をお持ちの方が、随分と増えてきているんだなと
改めて実感した次第です。
時代や人々の考え方も大きく変化し、
「死」や「死後」について考えたり、話をしたりすることが、
「縁起が悪い」という理由だけで遠ざけられる状況ではありません。
自分自身がどう生きていくかを考えると同時に、
どうやって人生を締めくくるかについて、しっかりと考えて、
準備をしておくことが求められる時代になっているのです。
自分の人生の締めくくりに関して、法律的な面も含めて、
不安なことがある場合は、当事務所にご相談にいらしてください。
最近は弁護士会でも遺産相続に対する取り組みに積極的で、
高齢者の方のご家庭を訪問し、相談に応じるという委員会もできています。
遺産相続に関するさまざまな不安があっても、健康上の理由などで
外出が難しいという方は、大阪弁護士会の高齢者・障害者総合支援センター
「ひまわり」が訪問相談を受け付けています。
財産管理なども扱っていますので、必要な方は大阪弁護士会まで
お問い合わせください。
次回も、暮らしに役立つ身近な法律の話題をお届けします。