「暮らしに役立つ法律情報」は、過去に配信していたメールマガジンの内容です。
最新の情報とは異なる場合があります。予めご了承ください。
「もめごと」の決着をつける方法といえば、裁判。
裁判といえば弁護士...というイメージが定着していますが、
「弁護士に相談するほどでもない」という問題も多いと思います。
たとえば「貸していた数万円を返して欲しい」といったような状況です。
弁護士を立てて、裁判をして...ということはあまり考えないと思います。
とはいえ、数万円という金額は大きいので返してもらいたい...。
このような場合「少額訴訟」という手続きを利用することができます。
少額訴訟は「60万円以下」で、「金銭の支払いを求める」
という場合に利用できます。お金の貸し借り、未払い賃金、
交通事故(物損事故)など、60万円以下で解決できるレベルの事件に
向いている解決方法です。少額訴訟も裁判ではありますが、
手続きは非常に簡単で、誰でも利用しやすくなっています。
最高裁判所のホームページでは、少額訴訟用の「訴状」が
ダウンロードできるようになっています。
「訴状」は通常、弁護士が専門的な知識を駆使して書く書類ですが、
少額訴訟用の訴状は非常に簡単に作成することができます。
原告(訴える人)、被告(訴えられる人)の名前や住所、
連絡先などを書く欄や、「被告は原告に対して次の金員を支払え」
といった文言、「紛争の要点(請求の原因)」を記入する欄などは
すべて予め印刷されていますので、空いている箇所に
内容を書き足していくだけで訴状が出来上がってしまいます。
お金の貸し借りの場合、「返済の期日」を記入する箇所がありますが、
「次の給料日まで貸しといて!」といった場合なら、その「給料日」を
記入します。「なるべく早く返すようにするから!」といった場合なら、
「返済期の定めなし」という欄にチェックを入れます。
お金の貸し借りで注意して欲しいのが「時効」の問題です。
個人間でのお金の貸し借りの場合、10年で時効を迎えます。
但し、時効は、相手が時効であることを主張して、
はじめて権利が消滅するものですので、
10年経っていたとしてもすぐに諦める必要はありません。
訴状に必要事項を記入。
契約書や借用書、念書などがあれば、訴状と一緒に
裁判所に提出するだけで良いのです。たった2枚の用紙に、
簡単な内容を記入して提出するだけで、少額訴訟は受け付けてもらえます。
▼時効の問題を「みおのメルマガ」バックナンバーでおさらい
http://www.miolaw.jp/melmaga/201103post-41.html
しかも、原則として少額訴訟の裁判は1回で終わります。
裁判といえば、何回も裁判所に通って...というイメージがありますが、
少額訴訟の場合は1回きり。その日だけで終わるのです。ただし、
被告側が「この手続きには参加しません」という意思表示をすると、
少額訴訟ではなく、通常の裁判になってしまいます。
多くの場合、被告も何度も裁判所に通うのはイヤなので、
少額訴訟で解決できるでしょう。
気になる費用についてですが、少額訴訟の上限「60万円を支払え」
という内容の場合でも、必要となる印紙代は6,000円です。
10万円以下の場合なら、わずか1,000円です。
それに加えて、相手に訴状を送達するための切手代が
3,000円~5,000円が必要となります。少額訴訟にかかる費用は、
「それだけ」なのです。
もし、訴状の書き方や手続きの仕方が分からないようでしたら、
お近くの簡易裁判所でおたずねください。訴状の用紙や、
書き方の見本もあります。職員の肩も親切に教えてくれるでしょう。