「暮らしに役立つ法律情報」は、過去に配信していたメールマガジンの内容です。
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テレビなどを見ていると、連日のように有名人の結婚・離婚に
ついての話題が取り上げられています。おめでたい話ばかりなら
見ていて楽しいものですが、なかなかそうもいかないようですね。
今回は、男女のトラブル・離婚にまつわる金銭問題のお話です。
慰謝料という言葉は、離婚の場面でよく問題になりますが、
実際には、離婚だけでなく、内縁関係を解消する場合などにも発生します。
また、ご主人が浮気をしていた場合などに、浮気相手に対して請求する
といったこともありますし、婚約不履行のような場合にも発生します。
婚約不履行や不貞の相手に対する慰謝料の請求については、
それほど高額になることは少なく、
一般的な「相場」は50万円から100万円前後となっています。
婚約不履行の場合は、婚約という事実があったのかどうかが
問題になります。結婚式場を予約していたとか、結納をかわしていた
というような事実がある場合ははっきりしていますが、単に口約束だけだと
婚約の成立が認められないこともあります。
不貞の相手方に対する請求の場合は
相手が結婚していることを知らなかったという場合や
すでに、夫婦間の関係が破綻してしまった後に関係ができた
という場合には請求が認められません。
さて、離婚の場合には、解決しなければならない2つの金銭問題があります。
一つ目は、離婚をすることになった悲しみに対する
「慰め」のとしてのお金。それが「慰謝料」です。
二つ目は、二人が結婚生活を送る中で、共に築いてきた財産を
清算するためのお金。それが「財産分与」です。
慰謝料に関しては、基本的に離婚の原因を作った側が支払います。
財産分与の場合は、二人の関係を清算するために発生する問題ですから、
どちらが悪いということは関係なく、
二人で築いてきた財産を二分することになります。
財産分与の場合、基本的にマイホームや預貯金、保険などの財産は、
どちらの名義であるということは関係ありません。
結婚してから一緒に築いてきた財産を分け合うことが財産分与です。
従って、結婚前から蓄えてきた預貯金、相続した土地などは、
その人固有の財産ということになり、財産分与の対象にはなりません。
夫婦間でよく交わされる
「ご主人が働いて稼いだお金のおかげで、奥さんは生活ができていた」
といった趣旨の会話がありますが、ご主人が退職金を受け取っていた
場合は、その退職金もきちんと二分する必要があります。
また、退職金を受け取る予定がある場合、そのうちのいくらかを、
妻が受け取るという取り決めがされる場合もあります。
最近はあまり耳にしませんが、「熟年離婚」などという言葉が
もてはやされた時期もありました。
そこでクローズアップされたのが「年金分割」です。
これは、平成19年4月1日以降に離婚をした、妻が専業主婦の場合の
夫婦に適応される制度です。年金分割と聞くと、
年金の金額が二等分されて、離婚した妻に夫の年金の半分が渡る...
というイメージですが、そんなに単純なものではありません。
実際には、「年金記録の一部を分割する」というものです。
この「一部」というのは、二人が結婚生活を送っていた期間のことで、
その期間分にあたる年金額が分割されるということなのです。
従って、夫の年金の半額が妻のもとに入るということはありません。
妻のもとに入る金額は、半額よりも確実に少ない金額になります。
この年金分割で受け取ることができる、おおよその金額は、
年金事務所(社会保険事務所)で教えてもらうことができます。
しかし、ここで教えてもらえる金額は、あくまでも予想額ですし、
年金を貰えるのが先の方の場合は不確かです。
この年金分割の制度があることを知って離婚を検討していた妻が、
実際にもらえる額を知って、思いとどまるケースも少なくありません。
現在、夫が既に年金を受け取っていて、妻が年金をまだ受け取っていない
という夫婦が離婚をすると、夫の年金額はすぐに分割されて少なくなります。
ところが、分割されたそのお金は、妻が年金を受け取れる年齢になるまで、
受け取ることはできません。つまり、このようなケースですと、
二人とも損をしてしまうのです。
次に慰謝料のお話ですが、有名スターの慰謝料が数億円などという
ニュースを見聞きすることもあります。しかし、ごく普通の夫婦なら、
20年以上も連れ添ってきたような場合でも、500~1,000万円の範囲です。
一般的には、300万円~500万円といったところに落ち着きます。
財産分与などの場面で、慰謝料の代わりにいくらかをプラスするというのが
よくあるケースです。暴力や不貞などの理由で離婚する場合に、
少しでも多くの慰謝料を受け取りたい場合には、暴力や不貞などの証拠を
きちんと揃えておく必要があります。
離婚に際しての金銭問題について色々とお話ししてきましたが、
慰謝料も多くは望めませんし、多額の年金を受け取れるわけでもありません。
財産がなければ、財産分与もできません。それでガッカリしないでください。
やっぱり、夫婦は仲良く連れ添うことが一番です。
次回も、暮らしに役立つ身近な法律の話題をお届けします。