「暮らしに役立つ法律情報」は、過去に配信していたメールマガジンの内容です。
最新の情報とは異なる場合があります。予めご了承ください。
不景気が深刻化する昨今、企業の倒産・破産の話題が後を絶ちませんが、
一般の方を巻き込んだ倒産・破産が増えていることが気がかりです。
つい先日も、有名な大手英会話学校が破産に追い込まれてしまいました。
英会話学校の市場規模の縮小に伴って、受講生も減少。
経営悪化に歯止めがかからなかったということです。
英会話学校に通って英会話を学んで、「キャリアを磨きたい」
「海外留学を目指したい」といった生徒さんは、一瞬にしてその夢を
台無しにされてしまいました。しかも、既に支払ってしまった
高額な受講料は今後どうなるのかといった不安もあります。
そもそも、生徒さんにとっては、
「お金が返ってくれば問題無い」という訳ではないのですが...。
今回の英会話学校に限らず、ここ数年の間に、別の大手英会話学校や
留学斡旋会社の破綻が話題になってきました。そのたびに、受講料の
返還がなされず、大きな問題となっていますが、もしもそのような
事態に遭遇した場合、どういった対応ができるのでしょうか。
たとえば、「詐欺だ!」と訴えるにしても、学校や会社がどうにか
事業を継続しようと努力していた場合には、詐欺として訴えることは
難しくなります。学校や会社が倒産・破産をした場合、
生徒にお金がきちんと戻ってくることは殆ど期待できません。
英会話学校に限らず、エステサロンのように継続的に通う必要が
ある場合、チケット制といったような形式で、まとまった金額を支払う
ことも多いと思います。たとえば、通常は1回5千円が、4千円になる
という条件を提示されると、お得感も増すことから、まとめて支払う
ことも出てくると思います。
このような場合に、現金でまとめて支払ってしまうのは大変危険です。
1~2カ月分くらいであれば、まだまだ被害は少なくて済みますが、
半年、1年...といった長期契約分の場合は、とくに注意が必要です。
なぜ危険かといいますと、現金で支払いをした場合、先ほどもお話し
したように、学校や会社が倒産・破産してしまうと、返金されることが
ないからです。もしも多額の費用が必要となる長期契約を結ぶ場合には、
信販会社を介したローン契約のほうが安心です。ローン契約の場合、
学校や会社が倒産・破産してしまったら、それ以降の支払いをする
必要がなくなるからです。
サービスの対価をローンで支払った場合、サービスの提供が停止されると、
それ以降は支払いの必要がないと法律で定められています。
これは、割賦販売法で定められた「支払い停止の抗弁」というものです。
この場合、学校あるいは会社に対して「これ以降は支払いをしません」
という通知を送る必要があります。通知を送るには、弁護士に依頼する
必要はありません。ご自身で通知を送るだけで大丈夫です。
より安心・確実に手続きを行いたい方は、弁護士にご相談ください。
最初にローン契約を結んでおくというのは、サービスを提供する学校や
会社が倒産したときの対策として有効ですが、
「ローンにかかる金利がもったいない」と思われるかもしれません。
その金利分に関しては、学校や会社が倒産したときのための「保険」と
考えれば、決してムダなものではないと思います。
また、サービスや商品の購入に関する申し込みや契約をする際には、
一定の期間内であれば、無条件に申し込みの撤回・契約の破棄ができる
「クーリングオフ」の規定があるかどうかを確認しましょう。
少しでも安く、お得に...という気持ちがあるのは当然なのですが、
高額なお金が必要になる契約を結ぶような場合には、
目先のお得感だけを重視するのではなく、
しっかりと先を見据えた対策をとっておくようにしましょう。