「暮らしに役立つ法律情報」は、過去に配信していたメールマガジンの内容です。
最新の情報とは異なる場合があります。予めご了承ください。
景気が悪化している現在、「この先の暮らしはどうなっていくんだろう?」
という不安を抱えている方も多いはず。暮らしを支えるために、
パートや派遣、契約社員として頑張っている方に至っては、
突然の解雇を言い渡されたりしないかという不安もあるかもしれません。
そのような不安が、現実のものとなっているケースも多々見られます。
昨年、非常に大きな話題になった「派遣切り」のような問題です。
最近は大々的にそのようなニュースが扱われていませんが、
決して問題が解決されたわけではありません。
「突然の解雇」に遭って、生活が立ち行かなくなる方は、
まだまだ大勢いらっしゃいます。
パートや派遣、契約社員は「会社側がいつでも解雇して良い」
という訳ではありません。「経営が厳しいから、今日で辞めて欲しい」
といったことは通用しません。従業員を解雇する前に、コスト削減などの
努力をしていたのか?といったことも問題になります。
従業員を解雇するには、それだけの合理的な理由が必要なのです。
従業員を解雇する場合には、少なくとも1ヶ月前に、それを伝えて
おかなければならないという法律の規定があります。
それができない場合は、労働者に対して「解雇予告手当」を
支給しなければなりません。解雇予告手当とは、やむを得ない理由により
労働者を解雇する際に、30日以上前からその旨を伝えていなかった
場合に生じる、労働者に支払うべき手当(お給料)のことです。
これは法律で決められていることですし、労働者が持つ権利ですので、
必ず解雇予告手当は支払ってもらいましょう。その場で受け取ることが
できなくても、後でしっかり受け取れるように約束を取り付けましょう。
解雇予告手当が支払われない場合には、労働基準監督署に相談すると、
会社に対して支払うように指導が入ります。
パートや契約社員だからといって、泣き寝入りする必要はありません。
また、契約社員の場合は「契約期間は半年」といったように、
期間を定めた雇用契約が結ばれているはずです。これまでは、
何事もなく契約が自動的に更新されていたにも関わらず、
ある日突然「明日で契約期限が切れる」といわれたといった場合、
ここでもやはり、解雇の合理的な理由が必要となってきます。
ここで注意して欲しいのは、3年以上も契約が更新されているような
場合には、正社員と同じ扱いになるということです。
3年以上も契約が自動的に続いているような場合ですと、そもそもの
契約期間が存在していない=正社員と同様ということになります。
正社員の解雇はそう簡単にできるものではありませんから、
会社側と協議するようにしましょう。
解雇の決定に納得できず、会社側と争うことになった場合は、
法律問題のプロである弁護士に相談されることが一番かと思います。
たとえば、先ほどお話ししました解雇予告手当の支払いを求める
といった場合ですと、弁護士が内容証明郵便を送るなどすれば、
会社側は対応してくれることが多くなります。
解雇が無効か、有効かという点を争う場合ですと、平成18年に施行された
「労働審判法」という法律にしたがって、争っていくことになります。
労働審判法での争いは、3~4ヶ月という短期間で結論が出ます。
裁判官と労働審判員が労使双方の事情を聞いて、調停をする仕組みです。
調停が上手くいかない場合は審判が下されます。この制度をご存知の方は
まだまだ少ないと思いますが、利用されるケースは増えてきています。
経済情勢が厳しい昨今ですので、会社が縮小・倒産してしまうことも
珍しくはありません。そのようなケースで未払いの賃金や退職金が
発生した場合も、決して慌てることはありません。
独立行政法人「労働者健康福祉機構」という機関が、会社に代わって、
賃金や退職金を、最大8割までを立て替えてくれます。
賃金だけでなく、退職金までサポートしてくれるというのは、
本当に嬉しいことなのですが、会社に「退職金規定」があることが
前提となります。会社の経営が傾いてきているような場合には、
退職金規定があるかないかを確認しておきましょう。
ちなみにこの制度は、父親が経営者で、母親や息子が従業員という
場合にも有効になります。
万が一、会社からの不当な即日解雇を言い渡されたとしても、
決して慌てることなく、会社に労働者の権利を主張してください。
また、「当面の生活費を工面しなければ...」といって、
安易に借金を作ったりするようなことは、絶対にやめましょう。
困ったことがあれば、何なりとご相談にいらしてください。