「暮らしに役立つ法律情報」は、過去に配信していたメールマガジンの内容です。
最新の情報とは異なる場合があります。予めご了承ください。
寒さも徐々に落ち着きはじめ、もうすぐ春がやってくる...と思いきや、
またもや日本は強い寒波に襲われてしまいました。
昨年は「100年に一度」ともいわれる、世界的な不況に見舞われたこともあり、
今年の冬は寒さが余計にこたえるような気もします。
さて、そんな昨今の不景気の影響もあってか、
お金に関係する悪質な事件が相変わらず後を絶ちません。
テレビや新聞などでも、あまり耳にしたくない事件が
連日のように報じられています。
しかし、それらの事件を、わたしたちにも実際に起こり得る、
身近な問題として捉えている方はどのくらいいらっしゃるでしょうか?
今の世の中、いつ、どんな事件に巻き込まれるかは分かりません。
「わたしは大丈夫!」という過信は禁物です。
ちょっとした油断や、平常心を失ってしまうことで、
大きな損害を受けることも実際にあるのです。
そんな私たちの"気持ちの隙"をついてくる
犯罪の代表例が「振り込め詐欺」です。
すでに多くの皆さんがご存知かと思いますが、
振り込め詐欺とは、「ご主人が電車内で痴漢をしたので、示談金が必要です」
「友人の借金の保証人になったので、返済の肩代わりをしなければいけない」
などとウソの電話をかけ、指定した口座にお金を振り込ませて、
大金を騙し取るという詐欺の手口です。
「お母さん、オレだよ、オレ!」などと
息子や孫になりすます手口が多いことから、
別名「オレオレ詐欺」とも呼ばれています。
この振り込め詐欺は全国的に被害者が急増し、
ピーク時の1年間の被害額は、
なんと約250億円にものぼっています。
この手の振り込め詐欺の発生件数が、
最も少なかったのは大阪府です。
しっかり者の"大阪のおばちゃん"には、
「オレだよ、オレ!」は通用しなかったのです。
ところが、しっかり者の大阪のおばちゃんだからこそ、
引っかかってしまう新手の手口が急増しています。
それは「還付金詐欺」という手口です。
税金や医療費、保険料などを多く払いすぎていると、
それらを管理する役所から還付金が支払われます。
その制度をヒントにして、詐欺を働いて金銭を騙し取るのが還付金詐欺です。
お金の計算、損得勘定に厳しい、しっかり者の大阪のおばちゃんは、
「お金が戻ってくる」の一言に、素直に反応してしまうようです。
この還付金詐欺の手口は非常に巧妙ですが、
最初のアプローチはオレオレ詐欺と同じく、
一本の電話から始まります。
たとえば、犯人は税務署の職員を装い、
「税金を納め過ぎていたので、その分をお返しします」などと電話で伝えます。
税務署のほか、社会保険事務所や地方自治体の職員になりすまして
電話をしてくるケースがあります。
「お金を返します」そのような電話を受けると、
誰でも得をした気分になるはずです。
そして、電話口からは「還付金のお支払いには、
銀行ATMでの手続きが必要です。こちらの指示通りに、
ATMを操作してください」という指示が出されます。
そして、何も疑うこともなく、言われるがまま銀行へ出向き、
携帯電話で指示を受けながらATMを操作すると...
ものの見事に自分の口座から犯人の口座にお金が振り込まれ、
大きな損害を被ってしまうことになります。
このような振り込め詐欺の被害に遭ってしまった場合、
訴えようにも、犯人の名前や住所などは分かるはずもありません。
もうこうなったら、被害者は泣き寝入りするしかない...と思われがちですが、
実はこのような場合でも、法律の力で救済される可能性があるのです。
次回は、振り込め詐欺に遭ってしまった場合の、
具体的な対処法と私たちを救ってくれる法律の制度ついてお話しします。