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弁護士の時事解説

  保釈について

2年前の11月、日産自動車前会長カルロス・ゴーン氏が逮捕され、保釈を巡る弁護側と検察側の攻防や裁判所の判断、億単位の莫大な保釈保証金、そして昨年暮れの、保釈中の身でありながらの海外逃亡劇などの報道が、世間の注目を集めました。 そもそも保釈って何でしょう。保釈という言葉自体は、さほど耳馴染みがないこともなく、ゴーン氏の事件が起こる以前からご存知だった方も多いと思います。 しかし、詳しいことについてはご存知ない方も多く、悪い人がお金を払って自由になる制度、くらいに思っておられる方もいらっしゃいます。 そこで今回は、刑事裁判の仕組みをよくご存知ない方を想定して、できるだけ簡単に、保釈という制度について説明してみようと思います。

保釈制度と刑事裁判

まず、保釈は、裁判で有罪とされる前の段階で問題になる制度であることを理解する必要があります。

もし、ある人が、法に違反し刑事罰に相当する悪いことをしたとして、警察などの捜査機関に糾弾されても、それだけでその人が刑務所に入れられたり、罰金を払うことになるわけではありません。捜査機関が犯人を間違っていることもありますし、その人がそのようなことをするには、仕方のない事情があったかもしれないからです。

そこで、その人に対して刑罰を科すのか、科すとすればどんな刑罰にするのかについては、捜査機関側の言い分と、糾弾された人=被告人側の言い分を、どちら側寄りでもない公平中立な裁判所が検討して決めることになっています。この手続こそが刑事裁判であり、両当事者の言い分を公平中立な第三者が判断するという仕組みこそが、真実発見と人権保障に必要であるとして、採用されているわけです。

刑事裁判は、捜査機関側の検察官が、裁判所に「この人を処罰してください」と訴え出ることでスタートしますが、この訴え出を起訴といいます。そして、罪を犯していない人を間違って処罰してしまわないように、裁判で有罪が確定するまでは、この人=被告人は無罪であるという推定が働くものとされています。

無罪推定があるとしたら、そもそも逮捕等の身柄拘束も認められないことになりそうですが、捜査をし、裁判を成り立たせるためには仕方がないので、被告人が逃亡したり証拠を隠滅するといったおそれがある場合等に、必要最低限の範囲で認められています。

 

保釈を認める理由

一方、刑事裁判の仕組みが、上記のように、中立の裁判所が捜査機関側と被告人側の言い分を聞いて決める、というものである以上、起訴された被告人の側も自分の主張をきちんとできるようにしなければなりません。しかし、身柄をずっと拘束されたままでは十分な防御活動をすることはとても困難です。弁護士との打ち合わせもままならないし、証拠の収集もできないことは想像に難くないでしょう。

また、刑事裁判をするとなると、ある程度時間がかかりますが、無罪の可能性がある人間をあまり長期間拘束することは不当ですし、社会生活に大きな悪影響があることも明らかです。

こうした理由から、法律は、起訴後については原則として、保釈保証金を収めることを条件として、罪証隠滅の恐れなどがない限り、保釈を認める仕組みになっています(現実にはこの罪証隠滅のおそれが緩やかに認定され、保釈が認められないことも多いのですが)。また、保釈の際には、逃亡や証拠隠滅等を防ぐため、住居が制限されたり、旅行が制限されたり、特定の人間との接触が禁止されたりといった、保釈条件が付けられることがよくあります。

 

保釈保証金とは?

保釈保証金は、保釈された人に経済的・精神的な負担を与えて、逃亡したり保釈条件に反したりさせないために、保釈時に裁判所に預けるお金です。誤解を恐れずに言えば、その人の身代金のようなものということになります。このような趣旨で預かるお金であるため、逃亡したり保釈条件に違反すると、没取される可能性があります。逆に言えば、そのようなことがなければ、きちんと返還されることになります。

人によって金額の負担感は異なるので、裁判所から示される金額は様々です。相場を言うのはとても難しいのですが、一般的には150万円程度から300万円程度といった事案が多いようです。冒頭のカルロス・ゴーン氏の最初の逮捕のときの保釈金は10億円(!)などと報道されていますので、それなりに高額の保釈保証金が設定されていた訳です。

ちなみに、統合型リゾート(IR)事業を巡る汚職事件で起訴され保釈中だった衆議院議員が、今年の9月に、保釈中に証人等を買収するなどしたとして、再逮捕・追起訴され保釈を取り消され、保釈保証金3,000万円も没取されました。

 

保釈保証金は誰が用立てる?

保釈保証金を誰が用立てるかについては、特に決まりはありません。まとまった金額が必要になるため、自分で用立てることができない人も多くいます。その場合、家族など身内に頼ることが多いのですが、それも難しい場合、保釈支援協会などの機関に一定の手数料を払って用立ててもらうこともあります。本人以外の家族などが申込者となって保釈支援協会と契約を結ぶのですが、保釈保証金が没取される事態になれば、申込者が保釈支援協会に返済をしなければならないことになってしまいます。

保釈の支援としては、全国弁護士協同組合連合会(以後、全弁協)でも、保釈保証書の発行事業を行っています。これは、資金の乏しい被告人にも平等に保釈の機会を与えることを目的にしたもので、担当弁護士の申込に基づいて全弁連が保証書を発行し、万一保証金が没収されることになった場合は、全弁協が支払いを行います。

保釈の許可が得られた場合、その人は身柄を開放された上で裁判に対応することができるようになります。 充実した訴訟対応を行う上でも保釈は重要です。みお綜合法律事務所では保釈に関するご相談をお受けしております。まずはお電話にてご予約の上、ご来所下さい。
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