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弁護士の時事解説/法律情報legal information

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弁護士の時事解説

当事務所では、交通事故の被害に遭われた方々からのご相談やご依頼を数多くお受けしています。 そのため、頻繁に行われる道路交通法規の改正には日頃から注目するようにしているのですが、2022年4月に成立し12月の閣議決定により今年の4月1日に施行される改正道路交通法は、日常の道路交通事情にも変化をもたらす可能性がありますので、主な内容をご紹介したいと思います。

自転車乗車時のヘルメット着用努力義務

2008年に施行された改正道路交通法では、13歳未満の児童・幼児のヘルメット着用が、保護者への努力義務とされていましたが、今回の改正で、努力義務の対象が、大人を含む自転車を運転する人全員に広げられました。

2019年12月16日付けの記事(自転車保険加入義務化について)でも、自転車事故の増加傾向や被害の重大性に触れましたが、自転車事故で亡くなった方の多くが頭部を損傷している一方で、ヘルメットの着用は進んでおらず、2022年に自転車乗車中に亡くなった方の93.1%がヘルメットを着用していませんでした(警視庁調べ)。

罰則のない努力義務ですが、業務で自転車を使用したり、自転車通勤制度を導入している企業は、自治体によっては行政指導を受ける可能性もありますので、社員のヘルメット着用を徹底する必要があると思われます。

 

電動キックボード等の規制

キックボード(車輪付きの板)に電動式のモーターを取り付けて、立った状態で運転することができる、いわゆる「電動キックボード」というモビリティ(乗り物)があります。この電動キックボード等について、最高速度20km/h以下で一定の条件を満たすものが「特定小型原動機付自転車」と定義されて、独自の規制が設けられることになりました。

これまでは原動機付自転車(いわゆる原付)として扱われていたため、運転するには運転免許が必須であり、さらに、ヘルメットを着用し、車道を通行しなければならないことになっていました。

これに対して、今回の改正により、「特定小型原動機付自転車」の要件を満たす電動キックボード等は、16才未満の運転が禁止される一方で、運転免許は不要、ヘルメットの着用は努力義務ということになりました。

また、車道通行が原則であることは変わらないものの、最高速度が一定速度以下に制限されており、それに連動する表示がなされているものについては、例外的に自転車通行可の歩道等を通行することも可能とされました。

このように、運転免許が不要で、例外的にではあるものの歩道等の走行も認められたという点では、自転車に近いルールが設定されたともいえます。

また、自賠責保険への加入が義務付けられることは法改正前と変わりませんが、万一のことを想定して、任意保険に加入しておいた方が良いと思われます。

私は、電動キックボードを実際に利用したり、街中で走行中しているところを目にした経験はないのですが、板の上に人が乗っているだけなので、いかにも不安定で、転倒すると危険ではないかという印象があります。実際にはそのようなことはないのかもしれませんが、ヘルメットの着用が努力義務に留まったこともあり、運転する利用者はもちろん、周囲の人も安全には十分気を付ける必要があるのかもしれません。

電動キックボード等に関する改正部分は2年以内を目途に施行されるとのことなので、本格的に普及するのはもう少し先のことになるかもしれませんが、新しい乗り物が登場する心構えが求められるところです。

 

自動配送ロボット等の規制

次に、自動運転技術を利用した自動配送ロボット等が、新たに「遠隔操作型小型車」と定義され、歩道や路側帯を走行するなど、歩行者と同じ交通ルールが適用されることになりました。

このように一定の法整備が図られたことがきっかけで、近い将来、街中を自動配送ロボットが当たり前のように行き来することになるのかもしれません。

そう考えると、いかにも近未来的な世界になっていくという感想を持ちますが、一方で、弁護士としては、職業柄、この自動配送ロボットが交通事故に巻き込まれてしまった場合の責任の所在なども気になってしまうところです。この点については、実用化が加速するにつれて、議論やルール化も進んでいくはずですので、問題が現実化するまでには調査研究するようにしたいと思います。

 

特定自動運行に関わる許可制度の創設

走行ルートなど特定条件下で行われる完全な自動運転(レベル4の自動運転)について、「特定自動走行」と定義してその許可制度を創設する規定も設けられました。

これにより、完全自動運転の実用化に向けた研究や実験が一層進むことが期待されますので、未来の自動車事情を大きく変動させる改正といえそうです。

今回の道交法の改正内容をみれば分かるように、技術の進歩に応じて、少しずつではありますが、法規制も整備されていきます。 それだけではなく、例えば、最後に触れた完全自動運転が普及すれば、当事者(運転者・歩行者など)の過失を前提とした、現在の交通事故の損害賠償の枠組みそのものが劇的に変わってしまう可能性もあります。 そのため、運転がさほど得意とは言えない一般市民としては、利便性が向上することを喜ぶだけで良いのですが、法律を扱う弁護士としては、新しい時代や法制度に取り残されないよう、知識や考え方をアップデートしていかなければならないという思いを強くしているところです。
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